トップ九頭龍神社と九頭龍伝説【コラム vol.18】

2025.7.25

九頭龍神社と九頭龍伝説【コラム vol.18】

フォレストアドベンチャー・箱根

箱根観光に欠かせないと言えるのが「箱根神社」。
千年を超える長い歴史を持つ箱根神社は関東における山岳信仰の一大霊場として古くから信仰を集めてきました。

その創始は、聖占仙人(しょうぜんしょうにん)が箱根駒ヶ岳に神仙宮(現・箱根元宮)を開き、主峰の神山を神体山として祭ったことに始まります。箱根は千年以上前から修験者たちが修行を行う霊場として名を馳せていました。

中世には源頼朝や北条氏、徳川家康など、武家によって崇敬されるお社として栄えると共に、東海道を旅する庶民の信仰を集めてきました。当施設でも箱根神社のお札を神棚にお祀りしております。

多くの観光客で賑わいを見せる箱根神社は、雨の日に訪れたい観光地の1つです。樹齢6~8百年を超える、高々とそびえる木々の頂上を覆い、社をしっとりと湿らす霧が立ち込める林の中で、時折差し込む光と相まってひときわ幻想的な雰囲気に包まれ、この神社の神秘さを引き立てます。

箱根神社から芦ノ湖畔の道を1時間かけて辿り着く、深い木立の中に鎮まる「九頭龍神社本宮」は、箱根神社中興の祖、万巻上人が芦ノ湖で鎮めた龍の伝説に由来し、箱根神社の末社という位置づけです。祭神の九頭龍大明神は芦ノ湖の守護神であると共に、商売繁盛・金運守護・心願成就・良縁成就などに御神徳が高いと信仰を集めています。近年、パワースポットとしても名高い九頭龍神社本宮ですが、同神社の周辺には「箱根九頭龍の森」と呼ばれる自然公園があり、本州に分布する植物の約7割の種が自生するといわれる豊かな植生で、ハコネバラやヒメシャラなどの箱根らしい木が数多く自生しています。

九頭龍神社本宮では、6月13日に年に一度の例大祭が行われますので、同神社とそこにまつわる伝承をご紹介します。

時は奈良時代の天平宝字元(757)年、芦ノ湖は万字が池と呼ばれていました。夜になると池の西から巨大な毒龍が現れ、湖畔の村にやってきては暴れまわって若い娘をさらったり、洪水を起こしたり、疫病を流行らせたりと、村人を苦しませていました。ちなみにこの毒龍は、海を越えた伊豆諸島の三宅島でも暴れ回り、三宅島の神様が毒龍を斬り付けた浜辺が毒龍の血で錆びたような色だということで、錆ヶ浜という地名になっています。

そこで、村人は相談した結果、犠牲者を少なくするために毒龍の機嫌をとろうと、若い娘を生贄として差し出す事にしました。

ちょうどその頃、箱根の山に万巻上人という修行僧が居ました。一万巻の経文を唱えたことから万巻上人と呼ばれ、高い法力を備えた人物と知られていました。毒龍の事を聞いた万巻上人は、法力で毒龍を改心させて村人たちを救おうと決意します。

万巻上人は村の人に、娘を生贄に沈める代わりに池の底に向かって石段を造らせました。祭壇を築いて経文を唱え、21日間に亘って祈祷を続けました。今日は満願という7月31日、池に渦が巻いて渦の真ん中から毒龍が姿を現しました。毒龍も万巻上人の法力には敵わないと、その片手に数珠と錫杖を持ち、もう一方の手には水瓶を持って、もう悪いことはしないと万巻上人の前で頭を下げました。

それでも万巻上人は毒龍を許さず、万巻上人は鉄鎖の法という法力で、毒龍を湖底の逆さ杉に鉄の鎖で繋いで結びつけ仏法を説き続けた。すると、毒龍はもう悪事をせず、地域一帯の守り神になると約束しました。

万巻上人は毒龍の約束が堅い事を知り、その頭を水晶の数珠で撫でると、毒龍の頭が二つ、三つと増え、九つの頭の龍神になりました。万巻上人は龍神・九頭龍明神とし、水辺に祠を建てて市杵島姫尊(いちきしまひめのみこと)と一緒に祀りました。

その為、九頭龍神社(本宮)の祭りは、毎年6月13日が年に一度の例大祭、毎月の13日が月次祭となっています。毎年、8月1日の箱根神社の大祭の前夜祭として行なわれる7月31日の湖水祭は、この九頭龍の霊を慰めるお祭りです。また、箱根神社の境内にある九頭龍神社新宮の月次祭は、毎月15日に行われています。

そして、毎月13日に行われる「月次祭」は、毎回多くの参拝者で賑わいます。いずれの場合も御本殿での祭典に続いて、九頭龍大神に献上する食事・神饌(しんせん)を湖に投じる湖水神事が行われ、次に湖畔沿いの弁財天社の神事が行われます。

月次祭がある13日は元箱根港より芦ノ湖遊覧船の参拝船が運航されますので、船で行くのもオススメです。箱根観光船(箱根海賊船)の元箱根港と間違えないようにご注意ください。

参拝専用の船は、毎月13日9時20分に就航します。乗船券(往復2,000円)を購入すると、九頭龍大神にお供えする御供(ごく)と祈祷申込書、神事の案内などが手渡されます。祈祷の初穂料は2,000円~、祈祷を申し込むと、御祈祷神札と龍神水の引き換え券をいただけます。祈祷を申し込まなくても例祭への参加は可能です。

ちなみに、九頭龍神社本宮へは歩いて行く事も出来ます。月次祭当日の午前中は、祭典の参拝者に限り九頭龍の森入場料が無料となります。九頭龍神社の周辺に茂る木々は、幹が二股になって空高く力強くそびえています。特に湖面側の木々はその殆どの木々が二股になっており、二つの物が一つに結ばれる、九頭龍神社のご利益である「縁結び」のご神徳が周囲にも多大なる力を及ぼしているような不思議な趣きを感じられます。

ご本殿に参加者全員が集合したら、神様へのお供えである神饌や玉串、神職、参列者すべてのお祓いが神職によって行われ、例祭が始まります。全員で一拝、神さまにお供えを上げて大祓詞(おおはらえのことば)と祝詞(のりと)の奏上、続いて参列者の祈願を奏上、雅楽の演奏や巫女舞が奉納された後、代表が玉串拝礼を行い、参列者全員で二拝二拍一拝のお参り、神饌をお下げしたら全員で一礼してご本殿での神事は終了です。全体で神事は約1時間、九頭龍神社のこじんまりした境内は、この祭事の時はかなりの混雑になります。月次祭では普段公開されていない本殿の扉が開かれるので、いつも以上のご利益が得られそうです。

ご本殿での神事が滞りなく済んだら、次は湖水神事、神職らが芦ノ湖畔に移動して、神職の方が神饌であるスルメ、卵、米、酒などを芦ノ湖湖中に献じて九頭龍大神にお参りします。このあと参拝者も同様にそれぞれが御供を湖中に献じて祈ります。

例祭に参加した後は、「箱根元宮」「箱根神社」を含む3社巡りがおすすめです。帰りは遊覧船を箱根園で下船して、箱根駒ヶ岳ロープウェイに乗って頂上の「箱根元宮」に参拝、下山後に再び船で元箱根港に向かって「箱根神社」に参拝すれば3社すべてを参拝することができます。

梅雨で天気も気分もどんよりしてしまいそうな日々ですが、自然に囲まれた参道を歩いて、九頭龍神社へお参りすればリフレッシュできます。
雨の日でも、それぞれの想いを叶えるために訪れてみてはいかがでしょうか。

文・写真とも「あらゆる歴史物語をカタチにする」軽野造船所
(フォレストアドベンチャー・箱根スタッフ)

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